三為契約とは、不動産業者自身が売主から物件を買い取り、その後エンドユーザーである買主に転売する取引形態を指します。通常の仲介売買とは異なり、売主と買主の間には不動産業者が入るため、契約形態や注意点が異なる点が特徴です。
三為業者は、この三為契約を専門に行う不動産業者のことを指します。通常の仲介業者とは異なり、物件の所有権を一時的に取得するため、より多くの利益を得られる可能性があります。しかし、その一方で、買主にとっては価格が高くなる可能性や、トラブルが発生した場合の責任の所在が分かりにくくなるといったリスクも存在します。
第三者のためにする契約とは?
「三為」とは、「第三者のためにする契約」を短縮した用語です。民法上の、本来の類型は、ちょっとイメージが違っています。
例えば、AさんがBさんに、Cさんに10万円を支払うことを約する契約は、第三者のためにする契約となります。この場合、Aさんは要約者、Bさんは諾約者、Cさんは受益者と呼ばれます。
これを応用して、なんとか中間省略登記を行おうというテクニックが三為契約です。
三為契約では、不動産屋は自分自身の名義にすることを飛ばしてしまい、いきなり最初の持主から、買主に名義を移転することができます。
三為契約のメリットとデメリット
三為契約は、主に不動産屋にメリットがあります。
メリット
- 不動産屋にとっては登記費用を省略でき、取引の裏側を隠せる
- 売主にとっては、所有権移転までの期間を短縮できる可能性も
- 売主にとっては、仲介手数料を支払う必要がない
- 買主にとっては、少しだけ安く買える可能性がある
デメリット
- 買主にとっては、物件価格が高くなる可能性もある
- 売主にとっては、相場より安く買い取られる可能性が高い
- トラブルが発生した場合、責任の所在が分かりにくくなる
三為業者を利用する際の注意点
キモは価格が適正かどうかと、責任の所在です。
- 物件価格が適正かどうかをしっかりと確認する
- 契約内容を十分に理解してから署名捺印する
- トラブルが発生した場合に備えて、書面でしっかりと記録を残しておく
三為契約は、メリットとデメリットを理解した上で、慎重に検討する必要があります。 特に、買主にとっては価格が高くなる可能性があるため、物件価格をしっかりと確認することが重要です。また、契約内容を十分に理解してから署名捺印し、トラブルが発生した場合に備えて書面でしっかりと記録を残しておくことも大切です。
参考資料
- 三為(さんため)契約、中間省略登記ってなに?? さえき事務所
- 三為業者のメリットとデメリット 知らないと危険!? エイブル
- メリットはあるの? 第三者のための契約(三為契約)について解説 不動産流通システムREDS
その他
- 三為契約は、必ずしも悪質な取引形態ではありません。しかし、悪徳業者によって不当な利益を得られる可能性があるため、注意が必要です。
- 三為契約を利用する場合は、信頼できる不動産業者を選ぶことが重要です。複数の業者に相談できればベストですが、難しい場合は司法書士の意見をしっかり聞いてください。
- 不動産取引に関するトラブルは複雑な場合が多いため、専門家に相談することをおすすめします。難しい場合は自治体の無料法律相談も検討してみてください。