元不動産屋日記

元不動産屋のワンポイント解説集です

不動産価格の動向:上昇か下落か?

2023年11月現在、日本の不動産価格は上昇を続けています。しかし、将来の価格動向は様々な要因によって左右され、上昇と下落の両方の可能性があります。

上昇要因

  • 人口減少と都市集中:

日本の人口減少は長期的に進むと予想されますが、都市部への人口集中は依然として続くと考えられます。特に、東京圏や大阪圏などの大都市圏では、交通網の発達や経済活動の活発さ、教育機関の充実などにより、人口流入が続いています。人口集中により、都心部や駅近などの利便性の高いエリアのマンション需要は高止まりすると予想されます。

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2023年11月現在、日本の長期金利は依然として低い水準にあります。低金利環境は、住宅ローン金利の低水準を維持し、住宅購入を促進する要因となります。低金利環境が継続すれば、住宅購入意欲は高止まりし、不動産価格の上昇圧力になると考えられます。
ただし、現在金利については先行きが見通しにくい状況です。

  • インフレ:

欧米を中心にインフレが進行しており、日本も徐々にインフレの影響を受け始めています。インフレが進行すると、物価上昇により資産価値が目減りするため、実質的な金利は低下します。インフレ懸念から、実質的な金利低下を避けるために、不動産への投資が活発化すると考えられます。

  • 円安:

2023年11月現在、円安が進行しており、日本の資産価値が海外投資家にとって魅力的に映っています。円安が進むと、海外からの不動産投資が増加し、不動産価格の上昇要因となります。

2020年に開催された東京オリンピックパラリンピック後の景気回復が期待されています。景気回復により、企業業績が改善し、雇用環境が安定化すれば、住宅購入意欲は高まり、不動産価格の上昇につながると考えられます。

不動産価格の下落要因

  • 人口減少:

長期的に人口減少が進むと、住宅需要全体が減少する可能性があります。特に、地方都市では人口流出が顕著であり、空き家問題が深刻化しています。人口減少が進む地域では、不動産価格の下落圧力が強まると考えられます。

今後、欧米を中心に金利が上昇し始めると、日本も追随して金利が上昇する可能性があります。金利上昇は、住宅ローン金利の上昇を招き、住宅購入を抑制する要因となります。金利上昇が長期化するようならば、不動産価格の下落につながると考えられます。

  • 経済情勢の悪化:

世界的な景気減速や金融不安など、経済情勢が悪化すれば、住宅購入意欲は低下し、不動産価格の下落につながります。特に、コロナ禍の影響が長期化するようならば、経済情勢の悪化による不動産価格の下落リスクは高まると考えられます。

  • 新築マンション供給過剰:

近年、都心部を中心に新築マンションの供給量が増加しており、供給過剰が懸念されています。供給過剰になると、販売競争が激化し、価格の下落につながる可能性があります。

  • 政府による不動産政策:

政府は、不動産価格の高騰を抑制するために、様々な政策を検討しています。例えば、住宅取得税の軽減や空き家対策など、不動産価格に影響を与える政策が導入される可能性があります。

地域別の不動産価格動向

上昇要因が下落要因を上回り、今後も上昇が続くと予想されます。特に、利便性の高いエリアや駅近物件は、価格上昇が顕著になると考えられます。

  • 郊外:

人口減少の影響を受けやすく、下落する可能性があります。駅から遠い物件や築年数の古い物件は、価格下落リスクが特に高くなります。

  • 地方:

人口流出が顕著であり、空き家問題が深刻化しています。不動産価格の下落が続くと予想されます。

結論

不動産価格の将来は、様々な要因によって左右され、一概に上昇か下落かを判断することはできません。地域によっても動向は異なり、都心部は上昇、郊外は下落、地方は更なる下落と予想されます

不動産購入を検討している方は、将来の価格動向を予測することはもちろん、自身のライフスタイルや経済状況などを考慮した上で、慎重に判断することが重要です。